メディアを読み解く練習 −「能動態主語」を探せ!−
問題なのは2文目。
今後、地検が4人の刑事責任の有無を判断する。
警視庁は、TBS側が意図的に発言内容を歪曲(わいきょく)、ねつ造した可能性は低いが、結果的に発言を誤って伝えた過失はあったと判断しているとみられる。
一般に、文章を書く上で重要なのは「主語と述語の対応関係がわかること」です。
また、文章には能動態(平叙文)と受動態(受身文)があり、大抵、目的語と主語を入れ替えて動詞を能受反転(※)させることで変換可能です(※英語ならbe動詞+動詞の過去分詞、日本語なら、動詞に助動詞「れる(られる)」のをつける)。
さて件の文章。
・・・とみられる。
受動態ですね。「みられる」が動詞+受身助動詞です。動詞は「みる」になります。
ちなみにこの「みる」は、「視線の先にモノがあって脳内でモノとして認識される」という意味、じゃなくて、「判断する」とか「予想・推測する」であると考えるのが妥当。
で、これを能動態にします。 とりあえず主語は××とします。
また、この「みる」は目的語(+補語)を伴います。○○(+ △△)とします。
××は、○○が△△とみる。
さて、××に当てはまるのは何でしょうか?
あまり考えないで答えると「警視庁」のような気もしますが、「警視庁」は元の文章で受動態主語になっているのでここには入りません。 むしろ受動態主語ですから能動態目的語になります、つまり○○に入るのが「警視庁」です。
××は、警視庁が△△とみる。
では、警視庁の補語はなんでしょうか?
(グレーアウトは既に役割決定しているので、候補になりません)
- 警視庁は、
- TBS側が意図的に発言内容を歪曲(わいきょく)、ねつ造した可能性
- は
- 低い
- が、
- 結果的に発言を誤って伝えた過失
- は
- あった
- と
- 判断している
- と
- みられる。
読み解くポイントは「5.が、」でして、「A(だ)がB(だ)」となります。 この場合、A、Bは何かと考えると
- A : 2+3+4 TBS側が意図的に発言内容を歪曲(わいきょく)、ねつ造した可能性 は 低い
- B : 6+7+8 結果的に発言を誤って伝えた過失はあった
となります。
すると「10.判断している」しかありませんね。 で、「判断している」内容はというと、上記「A(だ)がB(だ)」
となります。
インデントをつけて整理すると
××は、
- 警視庁が
- TBS側が意図的に発言内容を歪曲(わいきょく)、ねつ造した可能性は低い
- が、
- 結果的に発言を誤って伝えた過失はあった
- と判断している、
とみる。
となります。で、最初に戻って、××に当てはまるのは?
(グレーアウトは既に役割決定しているので、候補になりません)
- 警視庁は、
- TBS側が意図的に発言内容を歪曲(わいきょく)、ねつ造した可能性は低い
- が、
- 結果的に発言を誤って伝えた過失はあった
- と
- 判断している
- と
- みられる。
・・・××に当てはまる言葉、なくなっちゃいました(笑)
ええ、つまり、「みる」の主語はこの文章には明示されていない、が正解。
もうわかりますね。
「みる」の主語は「記者」です。
・・・なにやってんだか共同通信。