保守とリベラルが、事前と事後で、主張の根拠が相互逆転するジレンマ

 現在(女系天皇制を認めていない)は

  • 保守(というか右派):染色体で見ると、男系を守って万世一系を保つべきだ
  • リベラル(〃 左派):伝統ということで考えると、染色体を根拠にするのはおかしい

という大勢になっている。
 しかし、もしここで、女系天皇が認められるとどうなるか。
 問題なのは、上記のとおり「女→男→男」となった場合である。
 将来(女系天皇制を認めて、かつ実現する)、リベラル(というか左派)側にこのように言い出すものが必ず現れることは想像に難くない。 すると保守(というか右派)側はこうなる(こうならざるを得ない・あるいは諦めて何も言わない)。

  • リベラル(というか左派):染色体で見ると、万世一系は保たれていない、別の血族である(=天皇に根拠がない)
  • 保守(というか右派):伝統ということで考えると、染色体を根拠にするのはおかしい

 つまり、女系天皇を制度として認める前と認めた後とでは、保守とリベラルの意見が逆転する
 言うまでもなく泥仕合で、しかも厄介なのは、「現在」の議論に参加している人間は「将来」の議論の時には、既に爺さん婆さんになってたり死んでたりしているということ。 現在「染色体を根拠にするのはおかしい(から、女系でもいい)」としている人間が、将来「染色体を根拠にするのはおかしい(から、天皇制はそのままにしておくべきである)」と主張することは、思想の意味でも寿命の意味でも考えにくい。