「ホワイトカラー・エグゼンプション」が反発されない閾値は?

 話題沸騰になってるこの記事。
残業代ゼロ 首相「少子化対策にも必要」2007年01月05日22時01分
http://www.asahi.com/politics/update/0105/007.html

  • 安倍首相は5日、一定条件下で会社員の残業代をゼロにする「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入について「日本人は少し働き過ぎじゃないかという感じを持っている方も多いのではないか」と述べ、労働時間短縮につながるとの見方を示した。さらに「(労働時間短縮の結果で増えることになる)家で過ごす時間は、例えば少子化(対策)にとっても必要。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を見直していくべきだ」とも述べ、出生率増加にも役立つという考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
  • ・・・

 ぶっちゃけ、働かなくても生きていける兄貴ボンボンだーの考えかなあという気がしますね。


 この問題についての皆さんの反応はここが典型的。
痛いニュース(ノ∀`)【残業代ゼロ】 安倍首相 「日本人は働きすぎ。少子化対策にもホワイトカラー・エグゼンプションは必要」
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/892743.html
(そのはてブhttp://b.hatena.ne.jp/entry/http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/892743.html
 かといって民主党に票を入れるのは嫌なんで、自民党はとっとと麻生氏を総裁にしなおしてください。 でないと共産党に入れます。*1


 よくわかる「詳しい説明と問題点」はここ。
木走日記 - ホワイトカラーエグザンプションで露呈した安倍政権の限界
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070107/1168120748
(そのはてブhttp://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070107/1168120748

 失礼ながら、もしかしたら安倍首相は税制・労働問題などに関しては庶民感覚に疎く政策に明るくないのではないかと、うすうす疑念を持っていたのですが、今回のこの安直な発言で私の心の中でその疑念は確信に変わってしまいました。

フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』がわかりやすくレポート内容をまとめていますので抜粋しましょう。

■適用対象者(年収条件は例示)
・現行の専門業務型裁量労働制の対象業務従事者(賃金要件を問わない)
・法令で定めた業務の従事者で、月給制か年俸制、年収が400万円か全労働者の平均給与所得以上の者
・労使委員会の決議により定めた業務で、月給制か年俸制、年収が400万円か全労働者の平均給与所得以上の者
・労使協定により定めた業務の従事者で、月給制か年俸制、年収が700万円か全労働者の給与所得上位20%以上の者
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%A8%E3%82%B0%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

 ここに条件付きながら年収400万円以上の労働者の一切の残業賃金除外(労働時間・休憩・休日・深夜業の規制からの除外)がはじめてうたわれたのであります。
 しかも都合のいいことに「■労働者の健康への配慮」では、「・企業の業種・業務・職種内容に応じ、産業医の活用方法・取り組みなどを自主的に労使で決定」とし、経営側がその労働者の保護を放棄できる逃げ道まで設けられたのであります。
(部分略・色瀬)

 まあ今でさえ、
中堅クラスの技術職(SEとかプログラマ)にマネージャー権限つけて(この時点で給与制から年俸制になり、残業代がつかなくなる)、しかし人手が足りないからという理由でその人をデスマーチに「技術職として」放り込み、残業手当が節約されるのでその人にあらゆる処理がのしかかり、怒って辞めるか病気になって辞めるかして、そうすると次の人にマネージャー権限つけてデスマーチに放り込み、を繰り返し、フロアに病欠者や休職者があからさまに増えて、これはシャレにならんと社会保険労務士を人事に招き入れたが、その人が社内の現状を見て試用期間いっぱいで自ら辞めた
なんて会社も■■■■■■わけで、
平たく言うと、こんな会社を堂々と増やしちゃいけないわけですよ。


 まあ面白話はさておき、「少子化対策につながるってのがわかんない」という件。
こんなページ見つけました。

オーネット:数字で見る恋愛と結婚
http://www.onet.co.jp/cnt00/msn/numsearch/200611/index.html

  • データ1の結婚相手の収入を重視するかの質問に対して”非常に重視する”と答えた女性は19.4%。“やや重視する”が63.6%となっており、8割以上が重視しているという結果になっています。
  • データ2の“結婚相手から収入を重視されると思うか”の質問に対して、“非常に重視される”と答えた男性は31.5%。“やや重視されるが”51.8%となっており。いずれも8割以上が重視されると答えています。
  • ちなみに、女性が結婚相手に望む年収で一番パーセンテージが高かったのは500万円〜700万円でした。 さて、あなたは女性の望みにどれだけ答えられるでしょうか?

(部分略・色瀬)

 だんだん答えが見えてきた。 つまり、

このアンケートの母体でカップルが出来たとして、少なくとも66.3%(約2/3)は男性の収入を条件として重視しており、その平均額は500〜700万円である

ということですね。 うーん、かなり庶民としては一般的な感覚ではないでしょうか。
 これに対して、今回の「ホワイトカラー・エグゼンプション」の案で提示されている数字が400万円。「結婚できる平均年収(下限)の8掛け」、こりゃ無理ですよ。 何が400万で何が700万なのかはわかりませんが、いやわからないからこそ、「法令で定めた業務の従事者」のケージに囲い込まれたら人生アウトなわけです。 というか、どんな職種を該当させるつもりだ400万上限年収



 じゃあ幾らならいいんだ、というところまで突き詰めたかったのだけど、力尽きたw
 鈴木みその「銭」に
「300万円弱稼いだ人は10%の所得税だけど、1000万円稼いだ人は10%じゃすまない」「いくらなの?」「30%。・・つまり、年収1000万円超えた人は国が認めるお金持ちということです。正確には900万円だけど
というのがあって、この辺がヒントになりそうな気はする。 現案での反対派も900万なら程々に静かな議論になりそうだし、経団連のもう一つの数字(700万)にも近い。 そうすればあとは、数字決めとその根拠となる定義づけですかね。
コミック 銭 2巻 (Beam comix) 鈴木みそ「銭」第2巻

ぐだぐだのまま考察おわる。

*1:一応、常々「私は自民か共産にしか投票しない」と宣言してますんで。