桜木町ガード下の「実験」

 前々回の日記 id:irose:20050619 で、グラフィティやタギングについて、using_pleasureさんのとこ経由で河北新報の記事について見解をのべたわけですが、これについてusing_pleasureさんから補足エントリがトラックバックされてました id:using_pleasure:20050624 *1
 正直、議論とかしてDEFEATしようとか、そういうつもりはないですが、まあ思ったことなどダラダラと。

  • 警察権力が取り締まりを行うことで、彼らはそれをゲームにおける「スリル」の一種だと感じ、ゲームの重要な構成要素の一つとして考えているのであれば、逆にグラフィティをある意味制度化してしまって体制の中に取り込んでしまうことで(たとえば「芸術的な」グラフィティを書いたライターに金を与え、そのグラフィティを特設会場みたいなところに展示するとか)、ライターたちが「権力」を対象化できない地点にまで導いていくことだってできるだろう。

 東急線の横浜-桜木町が運行取りやめになって、ガード下はどうなるの?って話がありました。 桜木町ガード下については説明略・・google:桜木町 ガード下(←クリック)を参照してください。 まあ、ある種グラフィティのメッカですね。
 で、横浜市都市計画局が、数百メートルのうち1/4くらい?を使って“実験”を行いました。
 つまり、ラクガキを市が管理してみるということですね。 チーフプロデューサーを一人おいて、その下で学生とか芸術志望の人とかに描かせる、という。
 「落書きがいいとは言わないけど、桜木町のそれが観光名所になっちゃってるのはとりあえず事実」というのは中田横浜市長がラジオで言ってた話で、そういう認識はガード下を知ってる人には多かれ少なかれあるってわかってるので、だから制作の時「その雰囲気を壊さないで」というコンセンサスは多分、あった、と思う


で。

EXPERIMENT(実験)とあります。



 えーと、以降、写真が古い(撮影2004年)なのはご容赦ください。
 で、肝心の中身なんですが、
















 うーん、なんかこう・・・「いい子ぶりっ子を見たときのようなムカツキ感」があるのは私だけ?
 ただこれって仕方のないことで、市が管理する以上、下は0歳(はよくわかってないだろうから多分3−4歳)、上は100歳&overまで、市民全員が「まあまあ満足できる」ものにならざるを得なくて、そうすると当然こうなる*2
 年齢幅広い全員が食べるカレーを、若者嗜好に合わせてハードな辛さにするわけにはいかない、ってことです。*3


 んでまあ、絵が出来てから数週間(数ヶ月?)で、取ってつけたような貼り紙。



「これまで壁に描かれていた絵そのものを否定するものではありません」


 よっぽど「なんじゃぁこりゃあー!!!」的なコメント(ぶっちゃけ、クレーム)が多かったのでしょうな。


 クレームといえばこの実験エリアの末尾。




 いやあの、わかる。 冷静に考えれば数百メートルの壁画なんてのは協力体制がないと出来ない。 んで、実験ということもあるので会社名出すことになったのもわかる。 アサヒペンに罪はない。
 ただ、それは「壁」にはそぐわないでしょう、やっぱ。
 ちなみに最近改めてここ見たら、現在この部分は「アサヒペン」のところだけツブして、「協力してくれた皆さん」みたいな英語が書いてありました。やっぱりこれも「なんじゃぁ(ry


 で今、この絵(のうちいくつか)はどうなってるかというと、


ボムられてますw


 とまあこんなわけで、「グラフィティをある意味制度化」っていうのは、コトバの上では面白いのだけどこうしてみてみると、「無理じゃない?」とか思うのです。
 じゃあテーマが「いい子ぶりっ子」でなければOKかというと



(※↑これは合成じゃないです。*4 )


 この情けなさはグラフィティライターとしてアウトだと思うし。

*1:というかはてなダイアリーのデフォルト機能として、id表記で言及すると自動的にTBが飛ぶんですが。便利なんだか不便なんだか

*2:税金の使い方としても、万人向けの方が正しい

*3:世の中の旦那さん、子供が出来て一緒に食卓を囲むと、カレーが甘くて泣きたくなるそうでw

*4:ちなみにこれ、「東急横浜-桜木町廃止で落書きは全部消される」という半デマが流れたときのボム。